1973年12月29日、正月映画として封切られた『日本沈没』は、地殻変動によって日本列島そのものが沈んでいくという大災害に、政府と科学者たちが立ち向かう特撮パニック映画です。小松左京の同名小説を原作に、上映時間140分のシネマスコープ作品として製作されました。ここでは、当時の制作体制と受け止められ方をもとに、今この作品を見るときに注目したい点を紹介します。

本編と特撮、ふたりの監督が支えた大作

本編の監督は森谷司郎、特撮の監督は中野昭慶が務め、脚本は橋本忍が担当しました。物語は、日本列島が地殻変動で沈没するという大災害に、政府や科学者たちが対応していくさまを描いていきます。主演は田所博士役の小林桂樹、総理大臣役の丹波哲郎で、藤岡弘、いしだあゆみらも出演しています。

製作費は5億円で、このうち2億5千万円が特撮に投じられました。当時としては破格の規模で、列島が沈んでいく特撮パートに製作費のちょうど半分を割いていたことになります。本編の人間ドラマと、特撮パートの規模感がどちらも作品の柱になっている点は、鑑賞前に知っておくと物語の見え方が変わってくるところです。

公開当時の動員規模と、特撮が受けた評価

公開当時の記録では、約880万人の観客を動員し、配給収入は16億4,000万円で1974年の邦画部門配給収入1位を記録したとされています。正月映画として公開された一本がこれだけの規模の観客を集めたことは、当時の邦画としてかなり大きな出来事でした。

あわせて、中野昭慶が手がけた特殊撮影はアジア映画祭で特殊効果賞を受賞しています。列島が沈んでいく大規模な特撮を、単なる添え物ではなく作品の評価を支える柱として仕上げていたことがうかがえます。

ふたつの視点と特撮の見せ方に注目する

半世紀以上前の作品だからこそ、今見るときは次の2点を意識すると流れをつかみやすくなります。

ひとつは、地殻変動という異変に、科学者や政府がそれぞれの立場で対応していく物語の骨格です。誰がどの立場でこの危機に向き合っているのかを意識して見ると、展開がつながりやすくなります。

もうひとつは、CGのない時代に、列島が沈んでいく規模感をどう見せているかという特撮そのものの見応えです。製作費のちょうど半分を投じた特撮パートは、当時の技術で「国土が失われていく」というスケールをどう表現したかという点に注目すると、今の映像と比べながら楽しめます。

派手な展開だけを速いテンポで追いたい人よりも、ひとつの危機に社会全体がどう向き合うかという過程まで含めて楽しみたい人に向いた作品です。

『日本沈没』(1973)を見られる場所を探すときは

配信サービスで作品名を検索するのが、現在の配信状況を確かめる一番確実な方法です。あるサービスで見当たらなかったとしても、それだけで配信されていないと決めつける必要はありません。ラインアップは随時入れ替わるためです。

配信で見つからない場合は、DVD・ブルーレイの宅配レンタルという選択肢もあります。旧作の在庫を探す方法は、TSUTAYA DISCASの宅配レンタルガイドで紹介しています。