1964年4月29日に公開された『モスラ対ゴジラ』は、ゴジラシリーズ第4作でありながら、映画『モスラ』の続編としての顔も持つ一本です。台風で流れ着いた卵をめぐる人間側の思惑と、そこへ現れるゴジラの脅威という二つの筋が同時に進んでいきます。ここでは、当時の制作体制と受け止められ方から、今この作品を見るときに押さえておきたい点を紹介します。

前作『モスラ』から続投したキャストと、対決を支えたスタッフ

監督は本多猪四郎、特技監督は円谷英二、脚本は関沢新一が務めました。主演は宝田明で、共演の星由里子は毎朝新聞の新人見習いカメラマンという役どころを演じています。小美人役は、前作『モスラ』に続きザ・ピーナッツが担当しました。モスラ側の顔ぶれが単独作からそのまま引き継がれている点は、本作を『モスラ』の続編として見るときの手がかりになります。

卵をめぐる興行師の思惑と、名古屋を襲うゴジラ

物語は、台風で静之浦に漂着したモスラの巨大な卵を、興行師が見世物にしようとするところから動き出します。一方、倉田浜干拓地から姿を現したゴジラは名古屋市を襲撃し、その進路はやがて卵にも迫っていきます。人間の欲得と、怪獣同士の対決が並行して進む構成で、卵がこの先どうなるかは実際に見て確かめてください。

善悪を分けた対決の型、この一本から始まった

本作は、善玉・悪玉を明確に分けた怪獣対決の図式を初めて導入した作品とされ、ゴジラはモスラに対する悪役として描かれます。怪獣同士の戦いを「どちらが正義か」という軸で見せる作りが、本作で初めて明確な形をとりました。

公開当時の動員数と、東宝社内での評価

初回興行の観客動員数は351万人、配給収入は15億5,000万円を記録しました。子供を含む親子連れの動員に成功したことで、東宝の役員会では総合的に大成功と結論づけられています。本作が公開された1964年には『宇宙大怪獣ドゴラ』『三大怪獣 地球最大の決戦』と怪獣映画が3本公開されており、後の第一次怪獣ブームの土台を築いた一本とされます。これ以降、ゴジラ映画は毎年製作されるようになりました。

今から見るなら、対決の型と小美人の胸中に注目

『モスラ対ゴジラ』を今見るなら、次の2点を意識すると、怪獣対決だけでは終わらない奥行きが見えてきます。

ひとつは、ゴジラをモスラ側の悪役として描く演出そのものです。善玉・悪玉を分ける対決構図がこの作品で初めて持ち込まれたぶん、後のシリーズと見比べながら、その原型がどんな形で作られているかを意識すると見え方が変わってきます。

もうひとつは、小美人たちの胸中です。核実験で島を荒らされ、モスラの卵の返還も拒まれた小美人と原住民は、人間社会への不信を抱えています。この背景を知っておくと、前作『モスラ』からの続投設定を知らなくても彼女たちの行動の意味がつかみやすくなりますし、知っていればなお厚みを持って楽しめます。

怪獣同士の派手な打ち合いだけを求める人よりも、対決の背後にある人間側の思惑や、小美人たちの胸中まで含めて楽しみたい人に向いた一本です。

『モスラ対ゴジラ』を見られる場所を探すときは

配信サービスで「モスラ対ゴジラ」に加えて「ゴジラ」のシリーズ名でも検索すると、現在の配信状況を確かめやすくなります。あるサービスで見当たらなかったとしても、それだけで配信されていないと決めつける必要はありません。ラインアップは随時入れ替わるためです。

配信で見つからない場合は、DVD・ブルーレイの宅配レンタルという選択肢もあります。旧作の在庫を探す方法は、TSUTAYA DISCASの宅配レンタルガイドで紹介しています。